2011年1月22日土曜日

偉人のウィット

文豪、夏目漱石が旧制一校で講師をやっていた頃のエピソード。

生徒の中に、いつも左腕を着物の中に入れたぞんざいな感じの男がいた。

見かねた漱石は、ある日ついに

「○○くん、授業中は左腕を出しなさい」

と注意した。

しかし、隣に座っていた男が言った。

「先生、この男は事故で左腕がないのです」

漱石先生、しまった、と思ったがもう遅い。

緊張で張り詰める空気・・・

しかし、そこで漱石はすかさずこう切り返した。

「私もない知恵を出して講義をしているのだから、君もない腕を出したまえ」

満場爆笑、そして喝采。

ない知恵どころか、限りないインテリジェンスとウィットのセンス。

稀代の識者、夏目漱石をよく物語る逸話である。

人間、頭がいいだけではいけない。

ユーモアとウィットがあってこその、魅力的な人間。

勿論、私などではとてもではないがこんな切り替えしは出来ないけれど。

この有名なエピソードは、漱石を神格化したがる人への当て付けで、漱石だって失言をするのだ、漱石なんて大したことはないのだ、というネガティブな意味合いで語る向きもあるが、人間漱石の魅力を現す以外の何物でもないと思う。

ちなみに、後年、その左腕のない男はひとかどの人物になったと伝えられる。

0 件のコメント:

コメントを投稿